関節リウマチのお話

関節リウマチとは

「関節リウマチ」は、全身の関節に炎症(腫れと痛み)が出現し、関節が変形してくる病気です。
強い関節の痛みや変形で行動・活動が制限されるため、日常生活や仕事(社会生活)に重大な支障をきたします。
この病気に悩まされた歴史上の人物として有名なのは、19世紀末のフランス人画家ルノワールです。彼は全身の関節痛で絵筆を握るのが困難になりながらも、素情らしい絵画の制作を続けました。
車いすに乗る自画像には、関節リウマチの典型的な手指の関節変形が描かれています。当時はたいした治療薬もなかったことから、大変辛い状態だったと思います。
「関節リウマチ」は、関節だけではなく全身の臓器(肺など)にも病変を起こす全身性疾患で、いわゆる「膠原病」の代表です。「膠原病」というのは1942年に病理学者のクレンペラーが名付けた新しい考え方で、全身の結合組織の病気です。
当初、膠原病とされたのは、関節リウマチの他全身性エリテマトーデス(SLE)、強度症、多発性筋炎/皮膚筋炎、結節性多発動脈炎などですが、現在では他の多くの病気が膠原病として知られています。

治療の進歩

日本では「関節リウマチ」の方は約70万人とされていますが、適切な治療を受けているのは、その数分の一とされ、多くの方はまだまだ不十分な治療を受けていると言われています。「関節リウマチ」の治療は、近年、効果の高い新たな治療法「生物学的製剤」の出現により、画期的な変貌をとげています。発症早期から積極的な治療でコントロールすることにより、関節変形への進展を阻止し、「寛解」(殆ど治ったに等しい状態)を目指す時代を迎えているのです。
従来の治療薬としては、副腎皮質ステロイド剤がよく知られています。1949年に初めてステロイド剤が関節リウマチの方に投与され、劇的な効果から、報告者はノーベル賞を受賞しています。今でも多くの膠原病の治療には不可欠ですが、関節リウマチでは今や主要な治療薬ではありません。
時代とともに多くの抗リウマチ薬が開発され、治療は進歩してきましたが、関節破壊を抑えることは困難でした。「生物学的製剤」の歴史はまだ10年ですが、骨破壊を抑え寛解をもたらす証拠が明らかにされ、現在では関節リウマチ治療の主役であり、さらに今後、新たな薬剤も登場を待っています。

早期治療の必要性

「関節リウマチ」では、関節変形のために日常生活や社会生活に支障をきたしている方が多数おられます。この関節破壊は、従来はゆつくり進行すると考えられていましたが、実際の骨関節破壊は、発症後とても早い時期に急速に進行することが明らかにされています。つまり、関節変形を防止するためには発症早期からの治療が重要で、生物学的製剤などの積極的な治療で病変を押さえ込む必要があるのです。
この発症から1年位までの時期は、「治療の好機(Window of Opportunity)」と呼ばれています。生物学的製剤は、進行した時期でもある程度の効果はありますが、一度破壊されてしまった骨・関節の修復は困難なことから、進展する前に治療することが大事です。関節リウマチの発症は30~40代の方に多く、10~20代の若い方も少なくありません。特に働き盛りの若い方では、関節変形をきたす前にQOL(生活の質)の高い生活をもたらす積極的な治療を受けられることをお勧めします。

リウマチ膠原病センターについて

当院では、2009年に「リウマチ膠原病センター」を開設し、「リウマチ性疾患」の診療拠点として、一層の充実を図っていくことになりました。
当センターでは、「関節リウマチ」や「全身性エリテマトーデス」などの膠原病を始めとするリウマチ性疾患の専門的な診療を行ってます。「関節リウマチでは、特に初期には、関節炎を起こす他の膠原病など多くの病気の鑑別がとても重要です。また、合併する肺や腎臓など全身臓器の病変や薬物治療に伴う合併症への対応など、内科的・全身的な診断・治療が不可欠です。一方、高度に進んだ関節変形、骨粗霧症に伴う骨折、骨壊死などにより日常生活に支をきたす方も多いため、人工関節置換術を含めた整形外科的な治療が必要になります。
このように、リウマチ性疾患では内科と整形外科の連携が非常に重要ですが、当院では、内科、整形外科ともにリウマチ性疾患に専門的に対応・連携可能であり、当センターはリウマチ性疾患の総合治療が可能な全国的にも数少ない施設です。内科部門としてはリウマチ膠原病アレルギー科が担当しています。「関節リウマチ」の他「全身性エリテマトーデス、強度症、多発性筋炎/皮膚筋炎、血管炎症候群」などの「膠原病」を始めとする多彩な「リウマチ性疾患」を診療しています。特に「膠原病」では、千葉大学での豊富な経験と実績があり、近隣地域には「膠原病専門医」がほとんどいないため、他市の基幹病院や遠方の病院など多くの施設から紹介を受けています。遠方から通院されている方も多数おられます。
「関節リウマチ」では、特に早期の診断には他の膠原病の鑑別がとても重要ですが、多くの経験があり的確な診断が可能です。また、「治療の好機」とされる初期に関節破壊への進展を抑え、QOLを高めるべく、適切な治療を行っています。適応を検討して効果の高い「生物学的製剤」や新しい免疫抑制剤などを積極的に導入しており、多数の実績があります。
生物学的製剤には、肺炎など感染症の合併リスクがあるため、特に高齢の方では、投与前のスクリーニング、投与中の感染症への注意及び発症時の対応が非常に重要ですが、当科では膠原病診療の経験から合併症への対応は十分です。基本的に最新の知見に基づく有効性、安全性・質の高い治療を目指しています。主なスタッフは、「日本リウマチ学会専門医」、「日本アレルギー学会専門医」で、当施設は日本リウマチ学会及び日本アレルギー学会の「専門医教育施設」に認定され、専門医を目指す後期研修医も募集しています。また、新規製剤の臨床試験(治験)にも積極的に取り組んでいます。

繩田 泰史 センター長

主な経歴

千葉大学卒、76~01年千葉大学医学部(この間87~89年米国留学)
01年より当院

資格

医学博士
日本リウマチ学会認定「リウマチ専門医」、「リウマチ指導医」
日本リウマチ学会評議員、リウマチ財団「リウマチ登録医」
日本アレルギー学会認定「アレルギー専門医」
ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター
臨床研修指導医
千葉大学医学部非常勤講師

所属学会・世話人

日本内科学会、日本リウマチ学会、日本アレルギー学会
日本臨床免疫学会、日本臨床リウマチ学会、日本感染症学会
(代表世話人)千葉膠原病セミナー、東葛南部リウマチ研究会
(世話人)千葉リウマチ薬物研究会、東葛リウマチ治療研究会、臨床検査談話会

院外広報誌

「済生会だより ならしの No.11 2009.夏号」 関節リウマチのお話

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