2012年4月1日に千葉大学呼吸器内科から当院に常勤医4名で赴任し、呼吸器科を開設して外来・入院診療を開始いたしました。
全国的に呼吸器科の医師数は少ないとされており、2011年における3大内科の専門医数をみても、消化器専門医17,105人、循環器専門医12,166人に対し、呼吸器専門医は4,595人という状況です。千葉県内でも呼吸器科の引き上げがおこなわれた基幹病院は少なくありません。私が当院で当科を開設する決断をした理由はいろいろありますが、私が大学から当院に非常勤勤務をしていた際に、当地区での呼吸器科の必要性を痛感した事、当院の多くの先生から熱心に呼吸器科誘致のお話をいただいた事、当院のスタッフの方々が熱心にかつ患者に親身に仕事をされていた事が主な理由です。当科の開設にあたり、私に縁のある優秀な医師が私と供に赴任してくれました。山内圭太先生と露崎淳一先生は大学院生時代に私が教官であった間柄です。山内先生は洞察力に優れ判断力の高い医師です。露崎先生は細やかな配慮ができる視野の広さを持った医師です。当院呼吸器科を地域の基幹病院として機能させていきたいと思っております。皆様、何卒よろしくお願い申し上げます。
日本内科学会 総合内科専門医
日本呼吸器学会 指導医
日本呼吸器学会 代議員
日本呼吸ケアリハ ビリテーション学会 理事
日本肺高血圧肺循環学会 評議員
日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
日本内科学会 総合内科専門医・指導医
日本感染症学会 感染症専門医・指導医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・指導医
日本結核・非結核性抗酸菌症病学会 結核抗酸菌症認定医・指導医
インフェクションコントロールドクター
医学博士
千葉大学臨床教授
日本結核・非結核性抗酸菌症病学会評議員
日本内科学会 認定内科医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本内科学会 認定内科医
呼吸器内科
日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
日本内科学会 総合内科専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本医師会認定産業医
医学博士
日本呼吸器学会 呼吸器専門医
日本内科学会 総合内科専門医
医学博士
日本循環器学会 BPA(balloon pulmonary angioplasty)実施医
肺は呼吸という生命活動に欠かすことのできない機能を営んでいますが、その機能のためにテニスコート一面分と各臓器の中で最も広く外気と接してその影響を受けるため、弱い臓器とされています。呼吸器の疾患は多種多彩であるのが特徴で、他臓器に関連してくる病態も多く存在します。当院当科でおこなっている検査と診療する疾患を以下にお示しします。
直径4~6mmのファイバースコープを用いて、肺や気管の病変に対して経気管的に細胞や組織を採取し診断をおこないます。止血や吸痰、気道の確保・確認などの目的でおこなう事もあります。苦痛の少ないように局所麻酔と鎮静剤を使用しておこなっています。
近年開発された先端に超音波プローブが装着されたファイバースコープを用いて、気管周囲のリンパ節や腫瘍性病変に対して超音波下で部位を確認しながら穿刺吸引細胞診・生検をおこない、確定診断をおこないます。
肺末梢の病変をCTで位置を確認しながら胸郭から経皮的に穿刺をおこない、生検・診断をおこないます。経気管的なアプローチより診断率は高くなりますが、気胸を比較的高率に発生するため、主に気管支鏡検査で診断のつかなかった場合に用いられます。
胸水が貯留する病態に対し、肋間にポートを留置し胸腔内を観察し、生検や細菌学的検査をおこない原因疾患の診断をします。通常の胸膜生検より診断率が高い事が近年報告されています。気胸にみられる嚢胞にフィブリン製剤を噴霧するなど処置をおこなうこともあります。
当科で診療する疾患は、胸部腫瘍性疾患(肺癌、縦隔腫瘍)、胸膜疾患(気胸、胸膜炎、胸膜中皮腫)、間質性肺疾患(特発性間質性肺炎、サルコイドーシス)、アレルギー性肺疾患(気管支喘息、過敏性肺炎、好酸球性肺炎)、気道閉塞性疾患(COPD-肺気腫、びまん性汎細気管支炎)、肺循環疾患(急性肺塞栓症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症)、感染性肺疾患(肺炎、肺真菌症、肺結核、肺非結核性抗酸菌症)、呼吸調節障害(睡眠時無呼吸症候群、原発性肺胞低換気)などです。
その中で代表的なものを下にお示しします。
我が国の死亡原因の一位は悪性腫瘍であり、3人にひとりが悪性腫瘍で死亡しているのが現状ですが、その中で最も多いのが肺癌です。当科では、近年標準治療となった限局型小細胞肺癌及びⅢ期非小細胞肺癌に対する放射線化学療法の同時併用療法もおこなっています。また遺伝子診断を活用して分子標的治療も積極的におこなっています。
喫煙者の15%程度に発症します。肺機能検査で1秒率が70%未満を示し、主には肺気腫です。症状は階段昇降時など労作時の息切れが主です。肺が、弾力が低下して伸びきったゴム風船のようになり、過膨張と気流制限を呈します。近年、我が国で行われた調査からは潜在的な患者も含めると患者数は530万人に及ぶと推定されています。
肺の間質(主に支持組織)に慢性的な炎症が続くことにより、肺が硬くなる病気です。肺が縮んで膨らまなくなります。労作時の息切れや乾性咳嗽が主な症状です。特発性間質性肺炎の概念や分類は約半世紀にわたって変遷してきた経緯がありますが、現在では、米国胸部疾患学会・欧州呼吸器学会の合同委員会による国際分類で7型に分類されています。
肺の表面に穴があいて空気が胸腔に漏れ出ているパンクのような状態です。若年者と高齢者にピークがあります。若年者では肺尖部にブラやブレブと呼ばれる膨れた餅の薄皮一枚の部分のような嚢胞が多くみられ、高齢者では基礎疾患が多くみられます。軽度のものは安静で軽快しますが、中等度以上の場合はまず胸腔ドレナージをおこなう必要があります。
病原微生物(主に細菌)による肺の感染性疾患です。複数の抗菌薬が使用可能な現在でも我が国の死因の第4位にある疾患です。近年では、薬剤耐性菌の増加、多剤耐性菌の出現、グラム陰性菌に対する新規抗菌薬開発の停滞などが問題・話題に挙げられています。
(機器類画像提供:オリンパスメディカルシステムズ株式会社)
●Tsuyusaki J, Kuroda F, Kasuya Y, Ishizaki S, Yamauchi K, Sugimoto H, Kono T, Iwamura C, Nakayama T, Tatsumi K. Cigarette smoke-induced pulmonary inflammation is attenuated in CD69-deficient mice. J Recept Signal Transduct Res. 2011; 31(6): 434-9.
●Yamauchi K, Kasuya Y, Kuroda F, Tanaka K, Tsuyusaki J, Ishizaki S, Matsunaga H, Iwamura C, Nakayama T, Tatsumi K. Attenuation of lung inflammation and fibrosis in CD69-deficient mice after intratracheal bleomycin. Respir Res. 2011; 12: 131.
●Kuroda F, Moss J, Vaughan M. Regulation of brefeldin A-inhibited guanine nucleotide-exchange protein 1 (BIG1) and BIG2 activity via PKA and protein phosphatase 1gamma. Proc Natl Acad Sci U S A. 2007; 104(9): 3201-6.
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