フィリピン共和国における台風被害支援(国際緊急援助隊第1陣)

2013年11月8日に猛烈な台風30号が、フィリピン中部のレイテ島北東部の海岸にあるタクロバンを襲いました。死者は少なくとも5,000人を突破し、行方不明者1,700人以上に上る甚大な被害を出しました。これほどまでに甚大な被害を出した背景に高潮の影響が指摘されています。猛烈な嵐が吹く中、最大で7メートルの巨大な高潮(津波)がフィリピンの街を襲い多くの犠牲者が出たのです。
この甚大な被害の様子は、日本国内でも連日ニュースで取り上げられていました。友人からの情報もあり、日本からも国際緊急援助隊・医療チームが出るのではないかと話していたのを思い出します。

千葉県済生会習志野病院 看護師 仲村 孝一

派遣までの経緯

2009年に国際緊急援助隊(JICA)へ登録し、派遣に向けて災害における研修を積み重ねていました。
11月10日20時50分JICAよりFネットを通じ国際緊急援助隊・医療チームの派遣要請がかかりました。翌日の昼までに成田に集合できる方という、まさに緊急招集でした。夜中に上司へ打診し、派遣が決定したのが11日の午前0時を過ぎた頃でした。 成田にての結団式を済ませ、チャーター機にてフィリピンの首都マニラに到着したのが11日19時30分頃、最も被害の大きいレイテ島の空港は混乱のために閉鎖されている状況です。マニラよりの移動手段についてミーティングが続きました。まずは国内線でセブ島へ移動が決定。ホテルでの休息時間が2-3時間で直ぐに出発し、12日早朝5時のフライトでセブ島を目指しました。

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フィリピン警察護衛にてフェリーへ
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フィリピン警察護衛にてフェリーへ

安全の確保

セブ島からレイテ島までの移動手段も考えなければなりません。アメリカ軍のオスプレイにて移動も可能との情報が入ってきましたが、オスプレイを降りた地点からの移動手段が整っていない。安全面はどうなのか、移動の車両も含めて考えていかなければなりません。レイテ島では、泥だらけで医療を行っており泊まるところや水もない。治安が悪くガソリンも食料も確保できないとの情報でありました。そこで安全面を確保する為に、フリピン警察の協力をお願いしつつ、移動手段の手配を同時進行で行っていきました。
12日22時に、セキリティ会社・フリピン警察護衛のもとフェリーでレイテ島のオロモックを目指します。

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活動地点に日の丸を掲げる隊員
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十字テント設営

活動開始

夕方に活動地点であるタクロバンに無事に到着し、15日より国際緊急援助隊の本格的な活動開催です。これまでの移動が長く疲れた体ではありますが、誰一人として弱音を吐く人はいませんでした。やっと活動が開始できるという嬉しさの方が上回っていたのです。
タクロバン市内のリサール公園に十字テントを設営し診療開始。

設営を終了し午後からの診察で156名の診療を行いました。被災して1週間が経つのですが外傷の方が多く、診察も受けていない状態です。傷口は感染を起こし腫れ上がっている状態、切開・排膿処置が続きます。子供の受診希望も多く、脱水症状や風邪症状の方も多く受診をしました。診察期間内には、現地で医療を受けられずにいた、慢性疾患の方の受診も多く結核の診断を受けた方も数名いました。
日本の国際緊急援助隊は、血液検査はもちろんのこと、エコーやレントゲン装置を持参している為に多くの診断が出来ます。

気温は、テント内43度を超える環境の中、被災者の方へ日本の心が伝わるように心がけました。言葉が通じなくても、日頃行っているきめ細かな対応(看護)を行えば、きっと思いは伝わるはず。目線の高さを被災者に合わせ、タッチング。子供へは、日本から持参した折り紙を織ってプレゼント。被災者からは、受診後に「Thank you、Thank you」と握手を求められ笑顔がみられた時は、自分の想いが伝わっていると確信がもてて嬉しくなりました。

また、バサイ地区にある地域病院においては、病院の屋根が吹き飛ばされて被災。 医師1名と看護師1名にて不眠不休で診療を続けている状況でした。テント内の診療を維持しつつ、病院支援にも携わることとしました。
15日から2次隊に引き継ぐ22日までに診療テント、バサイ地域病院において、約1,000人近い被災者の診療を行い活動終了となりました。

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レントゲンブース
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診療の様子

まとめ

今回のミッションにおいては27名の医療チームですが、現地では、通訳の方・運転手の方・護衛のセキュリティ会社・地元警察を合わせ総勢74名が関わりサポートしてくれました。
今回は、これまでにない過酷なミッションだったと副団長が話されていました。
被災地までの移動手段、安全面の確保、診療活動、どのことをとっても地元フィリピンの方達の協力なしでは、出来なかった活動であったと思います。感謝申し上げると共に、一日も早い復興を切実に願うばかりです。
最後になりましたが、派遣に向けてご尽力頂いた上司の方、支えたスタッフの方、またこのような活動機会を与えて下さった済生会の皆様に感謝いたします。
これからも「救療済生」を念頭において、微力ではありますが力になっていきたいと思います。

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診療の様子
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地元の子供たち

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(土・日・祝祭日・年末年始を除く)

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