ロボット支援手術(ダヴィンチ)の対象となる疾患について
1.原発性肺がん
肺に発生するがんであり、現在日本における悪性腫瘍(がん)の中でも男性で1位、女性で2位と非常に多いがんとなっています。
喫煙による影響は大きいですが、喫煙率が減少していても高齢化などに伴い、依然として肺がんの罹患数は増えています。
手術は、比較的早期の肺がんに対して行われることが多く、基本的には肺がんのある肺葉を切除しますが、
最近ではより小さな区域を切除することも増えてきています。
従来は、20~30cmの創をあけて手術が行われてきましたが、近年になり内視鏡を用いた小さな創での手術がほとんどとなってきています。
《 肺癌の手術方法 》
開胸手術
脇の下に20~30cmの創をあけ、実際に手を入れて手術を行います。
創が大きいため、術後の疼痛が強く残る可能性がありますが、
難度の高い処置が必要な場合など、より安全な手術が求められるときに
用いられることが多いです。
胸腔鏡下手術
現在主流の手術方法であり、1~4個程度(それぞれ1~4cm程度)の小さな創で、
胸腔鏡というカメラを用いて手術を行います。
創が小さく体への負担が少ないと考えられますが、
操作性などに制限がつくため手術の難度は上がるとされます。
ロボット支援下手術
胸腔鏡手術の一種ですが、執刀医がロボットをコントロールして行う手術です。
1~2cmの小さな創が4か所と、4cm程度の創が1か所つくことが多いです。
創が小さいため体への負担は少ないとされます。
また、ロボットのアームの自由度が高いため、より精度の高い正確な手術が可能です。
2.転移性肺腫瘍
他の臓器のがんが肺に転移してきて大きくなるものを指します。
大腸癌や腎癌、甲状腺癌などが多いとされています。
手術は、原発性肺がんと同様に肺葉切除を行うこともありますが、部分的に切除することも多いです。
3.縦隔腫瘍
縦隔とは肺と肺に挟まれた領域のうち心臓や大動脈などを除いた部分となります。
多くは胸腺という免疫に携わる臓器や、脂肪などが存在します。
縦隔腫瘍には、胸腺から発生する胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫や胸腺癌)や奇形腫、嚢胞性腫瘍、神経鞘腫などがあります。
経過観察する症例もありますが、大きくなってくる場合などでは手術治療を行うことが一般的です。
近年は内視鏡による手術が主ですが、縦隔はとても狭い空間であるため、
3Dカメラと精緻な動きができるアームを用いて行うロボット手術のメリットはとても大きいと考えられます。